福島第一原発処理水の海洋投棄

 2021年4月13日、日本政府は福島第一原発で増加している放射性物質を含む処理水の処分方法は、国の基準を下回る濃度に薄めたうえで海へ放出する方針を決定し、東電には2年後をめどに海への放出を開始可能な様に準備し、賠償も含め風評被害への対策を徹底するよう求めた。
 これに対し、地元の漁業関係者が風評被害に発展するとして反対を表明。IAEAは日本の決定を歓迎しモニタリングを支援すると発表。アメリカは世界的な安全基準に従った方法を採用したと声明を発表。中国と韓国は日本の決定を極めて無責任として批判している。
 基本的に放射能汚染された地下水を多核種除去設備(ALPS)で浄化処理をして核種を除去したとしているが、取り切れないトリチウム等の核種数種類は存在し、2018年に東電は、ALPSで処理した水のうち、84%が基準を満たしていないと明らかにしている。当然、希釈して海に投棄すれば年々海洋汚染は進行していくのでダメなのである。海流の関係で一番被害を受けるアメリカが同意し、海流の影響を受けない中国と韓国が反対しているのはおかしな印象を受ける。中国は認めないが四川大地震でウラン処理工場を廃棄処分した場所ではウランに汚染された地下水が河川を通じて海洋に流れ込んでいるのである。
 ヨーロッパではフランスを始めとして各国が河川を通じて海洋に原発冷却水を大量に放出しているがIAEAが問題なしと認めれば特に問題になっていない。つまり原発事故を起こした国はソ連(現ロシア)と日本だけなので特に注目されているのである。
 日本での問題は、処理水を希釈する企業への投資が始まるが、単純にウラン235だけの半減期を考えても約7億380万年であり希釈企業は永遠に継続することになり、当然のごとく電気料金に反映する事になる。また、中国と韓国が騒いだと言う事は我々が徴収された税金から口止め料的な金の動きが発生することになる。
 最後に汚染水を処理するベストであると思われる方法は、地球の地下を循環する地下水が存在し、放出口と吸込み口が海底の何処かに複数存在していると言う、汚染水を吸込み口から投入すれば良く、マントルに近い部分を循環する地下水は超熱水となるため核種変換が進むとのことである。
 悔やまれるのは「東日本大震災でメルトダウンした福島原発は当時、デブリの回収は可能であった。」に書いた通りに処理すれば現在の状況には至っていなかった。最近、判明した実行しなかった理由は金がかかり過ぎるというであった。一時的に巨額な金を出すことと長期にわたる金を出し続ける事を天秤にかければ普通は正しい答えを導き出すはずであるが当時の民主党政権は出来なかったということである。

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福島第一原発処理水の海洋投棄” に対して1件のコメントがあります。

  1. mirai より:

    トリチウム汚染処理技術に就いては有望なものが有るのですが、いずれも電力会社に却下されており、政治的な思惑を感じています。技術開発者達は忸怩たる思いですが最後の力を振り絞って俎上に載せようとしています。子々孫々の為に浄化する事は必要でしょうし、本質的には汚染の元であるデブリによる核反応を停止させなければ成りません。つくづく力の及ばぬ事に嘆息ですが、なんとかブレークスルーする事が出来ないかと念じつつ。

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