ノルドストリームを爆破し、ロシアとウクライナのガス輸送協定を終わらせたのは何の目的か? 北極海とエネルギー市場では世界に影響を与える動きが始まっている

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 2013年、ヨーロッパ、特にドイツ経済が安価なロシア産ガスの需要を高める事でノルドストリーム2の計画が始まった。
 
 ところが、2014年末に第2次マイダンクーデターが起こされてウクライナでは反ロシア勢力が権力を掌握し、反ロシア路線としてドンバスにおけるロシア国民に対する戦闘による虐殺が開始された。

 この時、西側の主張は「ロシアがノルドストリーム2を利用してウクライナを脅迫し、ウクライナを通るガス輸送を終わらせるだろうというものだった。」
 これは、西側にとってノルドストリーム2は阻止する必要があったと言う事である。
 アメリカは水圧破砕ガスをヨーロッパに販売したいため、ノルド ストリーム 1とノルド ストリーム2の両方に反対していた。
 アメリカは水圧破砕による石油とガスの生産拡大を開始したため、ノルドストリーム2の建設に積極的に反対し、パイプラインの建設に関与した欧州企業に制裁を課した。

 2022年9月、アメリカはノルドストリームを爆破し、それによってヨーロッパのアメリカ製水圧破砕ガスへの依存を強化した。この時、ポーランドのシコルスキ外務大臣はツイートでノルド・ストリームの爆発についてアメリカに感謝の意を表し「NATO拡大後の新たな勝利だ。」記載した(現在、削除)。

 現在、トルコ経由でハンガリーを含む南東欧にロシアの安価なガスを供給する黒海海底を通るパイプラインはブルーストリームのみだが、米国はすでにこのパイプラインにも目を付けている。
 2024年3月27日、アメリカエネルギー担当国務副長官ジェフリー・パイアットは、欧州のエネルギー供給におけるトルコの役割に関する記者会見で「アメリカはトルコを流れるロシア産ガスを他の供給源からのガスに置き換える計画である。」と発表した。

 ウクライナがロシアのガスプロムとの契約を2024年末以降に延長することを拒否し、オーストリア、イタリア、ハンガリー、スロバキアなどのEU加盟国への天然ガスの流れを事実上遮断した事に対して、スロバキアのフィコ首相はキエフに対して報復措置を講じる準備を進めている。

 12月27日、ウクライナ最大の民間エネルギー会社DTEKは、アメリカから初めて液化天然ガス(LNG)の引き渡しを受けた。
 2025年1月1日0800P、ロシアからウクライナを経由してヨーロッパへのガス供給は遮断され、ウクライナも約10億ドル相当の通過料金を失った。

 ロシアのプーチン大統領は「ウクライナ経由のガス輸送契約はもう行わない。」と発言している。

 一連の流れで最大の受益者は誰か?
 アメリカのノルドストリーム爆破は何のために実行したのか?

 アメリカは次にどの様な手を打つのか?
 EUは、経済的にどの様な結論になったのか?
 現在、ヨーロッパ各国は如何にしてガスと石油を手に入れているのか?

 これから北極海とエネルギー市場では世界に影響を与える何が始まるのか?