デジタル技術による戦闘機開発

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 2020年9月15日、アメリカ空軍ウィル・ローパー調達開発担当次官補は次世代制空戦闘機の技術実証機が、既に飛行していたと明らかにした。この中でVirtual Reality(仮想現実)などのデジタル設計開発技術と最新の製造技術を駆使し、技術実証機に要求される性能が決定してから1年未満で初飛行を可能としたと発言した。
 これは2019年10月に発表した「デジタル・センチュリーシリーズ」という約8年ごとに、その時の最新技術を盛り込んだ新戦闘機を就役させ、すでに就役している戦闘機は概ね16年で退役させるという概念であり、利点は
 ① アメリカ空軍がデジタル・センチュリーシリーズのコンセプトを採用すれば、戦闘機の分野で常に中国に対して優位に立つことができる。
 ② 新戦闘機の開発費や機体製造費は従来の戦闘機に比して高額になるが、16年で退役させることにより、維持費と近代化改修費が低減できるため、従来の戦闘機を30年運用するよりも10%程度、経費の総額が低減できる。
 ③ デジタル設計技術と、3Dプリンターなどの最新の製造技術を用いるため、これまで戦闘機の開発、製造を行なってこなかった企業の新規参入が容易になりベンチャー企業家にも戦闘機への参入の機会を与え健全な競争ができる。
としているが、中国の技術はアメリカが考えるよりも進んでいる。よって常に中国に対して優位に立つことができるとは断言できない。
 特に、2019年1月3日、中国の無人探査機が月の裏側に世界で初めて着陸したということに対してアメリカもロシアも技術的な部分で悔しい思いをしているのである。
 「デジタル・センチュリーシリーズ」発表が意味するものは、旧ソ連に仕掛けたSDI(戦略防衛構想)の焼き直しであり、対抗する国はデジタル技術に莫大な投資をしなければならず軍事費はもちろん国家予算も圧迫することになるだろうという思いをアメリカは持っている。SDIに対抗しようとしたソ連が潰れてSDIも中止となったことは当時のアメリカの技術ではSDIにまで発展させることが難しく、ソ連に対するハッタリであったということである。もう一つは、海外に対し「アメリカの技術は素晴らしいものであり、これに対抗しようとする国は、この様な技術を持っているか?」というアピールである。
 しかし「デジタル・センチュリーシリーズ」が成功しても戦闘機保有機数は今より減ることになる。

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