国内権力闘争に勝利した習近平の手腕が明らかにされる不動産企業への処置
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2021年10月24日、中国内部の権力闘争で習近平は江沢民勢力を打ち負かし権力を手に入れたとの情報が入って来た。ただし、王岐山は今回も波風を立てずに静かにしていた様である。
長老会もこのまま「共同富裕」を推進する習近平に中国恒大集団等の不動産開発企業の信用不安に対する巨額の負債をどの様に処理していくのか手腕を見るつもりである。
中国政府としては遅くとも年内に不動産開発企業の負債に対する国家として救済するのか見捨てるのかの処置を決定しなければならない。
決定が遅れるほど恒大集団に投資し日本国内のマンション等を運用している中間層はヨーロッパのある投資家に物件を二束三文で売り渡すことになる。そうなると少しであるが、ヨーロッパの某国により日米関係を綻びさせる為の楔が打ち込まれたことになる。
習近平を悩ませるのは不動産開発会社の花様年控股集団に対する処置である。この企業の創業者は共産党高級幹部の子弟を意味する太子党の一員である曽潔である。彼女は曽慶紅元副国家主席の姪で、かつて毛沢東政権で内務相を務めた曽山氏の孫でもある。
曽慶紅は最高指導者だった江沢民の腹心でもあり絶大な信頼を得ていた。また彼は習近平を強力に推薦したことで習近平は2007年10月の第17回党大会で党政治局常務委員に選出され、2008年 3月には国家副主席に就任出来たのも曽慶紅のおかげである。
つまり、花様年控股集団は江沢民派と言うことである。此処に政敵であった江沢民派の企業に国家予算を投入して救済するのかと言うことが注目点でもある。救済した場合には、共同富裕政策と反する事になる為、国民の不満は習近平に向かう事になる。しかし、これまで政治的保護を受けて発展してきた企業にとっては習近平により救済されたと言う事実から習近平の影響力は計り知れないものとなり、企業は習近平に従わざるを得ない立場となる。
救済しない場合には、習近平に対する国民の評価は高まるが、中国不動産業界の危機も高まり、国の経済にも影響を及ぼすことになる。
では、中国の不動産バブルが崩壊した場合には中国版リーマンショックとなるかと言えば、中国国内に限定される様である。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も「中国の不動産バブル崩壊は米国企業のデフォルトの可能性は少ないと思われる。」と発言している。
これで安心かと言うとそうではない。恒大集団だけでも中国国内に直接・間接雇用者は約400万人である。一斉に無職になれば、中国経済だけではなく中国国内の治安にも影響する。これらの人々が職を求めて日本にも来る可能性はある。不動産バブル崩壊だけで済めば良いが、日本が心配しなければならないのは中国の金融危機まで及んだ場合である。
その理由については、別の機会に説明する。