アメリカの衰退は中央軍創設から始まった

 1983年、アメリカはフロリダ州マクディール空軍基地に地域別統合軍である中央軍(United States Central Command)を創設したが、当初の目的はイラクを叩き、その地域を平定することにあった。
 1991年に湾岸戦争が始まり、その後は対テロ名目でアフガン戦争が始まり中央軍は最も活発な軍事行動を継続することになった。戦争イコール経済であるが、アフガン戦争では戦費が飛躍的に増大することになりアメリカ経済を圧迫することになった。しかし中央軍を維持するための戦争と紛争は継続されている。
 そして中央軍の行動は、NATO軍の存在価値を低下させ先行きの不透明さが増大した。なぜNATO軍の存在価値が低下したかは、逆にNATO軍はどこの国を主敵として存在していたのかを考えれば良い。NATO軍にとって冷戦時代のソ連が主敵であったが今は存在していない。中東ではアメリカの国益を求めて中央軍が活動しているためNATO軍が大規模な軍事活動する場は存在しない。つまりNATOの敵はいないのである。そこで旧ソ連領内の東欧諸国をターゲットに軍事行動を始めたことで、アメリカも駆り出される事になり戦費は増大していく。
 更に、経済力を増大させた中国がシルクロードでヨーロッパに進出する一帯一路も中東を経由するためにアメリカは対応せざるを得ない状況にある。アメリカと中国の対立は表向き激化しているため、海洋でも西沙、南沙、尖閣等の周辺でアメリカは海軍を活動させなければならず、必然的に金がかかるのである。トランプ大統領が言い出した「軍の駐留費用を同盟国に肩代わりさせる」は軍事費の増大によるものである。これに新型コロナウイルスの感染が輪をかけている。
 これらはヨーロッパの外交にも影響を及ぼし、ドイツとロシアが組むことになった。なぜならば、ドイツとしてはシルクロードを通りヨーロッパに出てくる中国の動きを見る必要に迫られた事による。トルコに進出した中国の動きを見て対応するのでは遅いため、アルタイ方向から中国内部の動きを見る必要性が出てきたためである。
 第二次大戦後にドイツの地政学に関する資料はアメリカに持って行かれたが、地政学に関する基礎があるためにこうした動きができるのである。日本もアメリカに潰された地政学を再度研究すれば、行き当たりばったりの外交ではなく本当に国益になる外交ができると思われる。地政学と地形の凹凸が分かる地図は非常に大事なのである。

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